温もりの森。
あなたを羨ましく思うけれど、あなたのようにはなれないと知っている。
陽が射せば、陰を作る。
雨が降れば、雨をしのげる。
大きくて、強くて、温かくて。
あなたが気づいているかは知らないけれど。
誰かを安心させる力を持っている。
私にはないものばかり、あなたは持っている。
そんなあなたに、憧れない、なんて言ったらウソになる。
同じところで生きているのに。
私のあなたは別のもの。
あなたは誰からも愛され大切にされる。
あなたがいなくなれば、きっとこの世は成り立たないから。
私はそうじゃない。
いつだって誰かから、邪魔だ、と言われる。
同じところに生きているのに。
あなたを見上げる。
あなたのようにはなれない。
それでもいいの。
あなたは花を咲かせる。
たくさん花を咲かせる。
みんなが見るのはあなたのほう。
私も花を咲かせるのに。
小さな花には興味がないみたい。
それでもいいの。
だってお互い花を咲かせることに変わりはないから。
色や形や数が違うだけ。
私のことを見てくれる人もいる。
あなたほど多くはないけれど、いる。
それでいいの。
誰になんと言われようとも。
だから花咲かせることを忘れずにいるの。