雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

しおりの使い方。

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続きは読みたいけれど。

 

あれもしなきゃ、これもしなきゃ。

そう思って読みかけのページにしおりを挟む。

 

早く続きが読みたい。

そう思っていたけれど。

 

気づけば、最後まで読み切っていない本が山積み。

また一冊増えてしまった。

 

読み切っていない本がたくさんあるのは知っているのに。

面白そうだと、あれもこれもと手を出してしまう。

 

読みかけの本は増える一方。

山は高くなる一方。

 

これではダメだと、読みかけの本を一冊手に取って開く。

しおりを挟んだページを開く。

 

この本はいつ読んだのだろう。

途中から読んだってわかりゃしない。

わかるけれど、わかりゃしない。

 

数ページ戻って、数ページ進んで、しおりを挟む。

休憩を挟む。

 

大きく息を吐き出して、はじめから読み直す。

読んでいくうちに記憶が蘇る。

中途半端に蘇る。

 

次第に集中してくる。

 

ふむふむ、となったところでタイプアップ。

 

あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ。

 

世の中、誘惑が多すぎる。

世の中、やらなきゃいけないことが多すぎる。

 

いつだって、そう。

何だって、そう。

 

しおりがあるから安心してしまう。

しおりを挟んだことで安心してしまう。

 

またすぐに読める、と。

またすぐにやれる、と。

 

山積みの本のことはすっかり忘れて。

 

しおりはあくまで緊急手段。

いつになったら続きを読むのか。

 

挟んだしおりに埃が纏う。

 

今度こそは、と埃を払って気持ちを入れる。

この気持ちを忘れないように、と。

この気持ちにしおりを挟めたら、どんなにいいだろう。

 

しおりを挟んだことを忘れないように。

しおりを挟んだところからすぐに実行できるように。

 

どれも中途半端だから。

今度こそは、と思う気持ちも中途半端。

 

それでもそのたび思ってしまう。

今度こそは、と。

 

最後まで読み切る力を手に入れたい。

最後までやりきる意志を手に入れたい。

 

 

 

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。