雑文記【ひびろぐ】

いつだって私たちの手のひらには物語がある。

星座にまつわる神話は独特。

 

f:id:touou:20190311211449j:plain

 

死んだら星になりたい。

 

なんて、ロマンティックなことは言えない。

 

でも考えてみたことはある。

なぜ星になりたいのか。

 

きっと寂しいからだ。

あなたと離ればなれになってしまうから、何か繋がりがほしいんだ。

 

星になったらどうなるのだろう。

ちょっとだけ考えてみた。

 

仮に星になったとしよう。

遠く離れた輝く星からは、真っ暗な地上は見えない。

ということは、あなたのことも見えない。

 

君からは私の光が見えるだろう。

でも私が発している光は、何万光年前とかいうレベルの話だ。

私が星になったとしても、私の光があなたのところに届くころには、あなたはいない。

つまりあなたが見ている光は、私の光ではない。

 

仮に今すぐ星になったとしよう。

今ある無数の星の中からひとつ選んで、私がその星になったとしよう。

これなら、あなたは私の光を見てくれる。

でも、これだけ多くの星の中から私を見つけることができるのか。

あなたも私も、それほど星に詳しくないから。

 

だから、どうせなら、わかりやすい星がいい。

有名な星がいい。

 

オリオン座なんてどうかな。

あれなら星に疎い私にだってわかる。

三つ並んだ星の左端がいいかな。

 

でも、やっぱり、一番は北極星かな。

わかりやすいし、見つけやすい。

 

星になってしまったらあなたにできることは何もなくなる。

だからせめて、方角がわかる星がいい。

 

あなたの行くべき方向を照らす。

私を頼りに、あなたの行くべき方向を知る。

 

私からあなたは見えないけど。

あなたが私を頼りにしてくれるなら、それでいい。

 

それなら星になってもいいと思える。

 

こんな架空の物語。

私だけがやたらと良い人みたい。

 

こんな架空の物語。

目の前で会えるうちに、話せるうちに、手を繋げるうちに。

あなたにしてあげられることをしなくちゃならない。

 

いつでも明日がやってくるとは限らない。

いつでも星が見えるとは限らない。

いつでもあなたが傍にいるとは限らない。

 

こんな架空の物語。

私が星になる前に。

今もこれからも。

 

私があなたにやるべきことは星の数ほどある。